殺し合う家族

第二十四話 殺し合う家族③

麻里奈が部屋にもどると、シン、と静まり返っていた、玄関からリビングに向かう前に脱衣所をチェックする事にする。運命の瞬間、乗るか剃るか。このギャンブルの勝者は。ドキドキしながら扉を開く、壁の、スイッチを押して電気をつけた。

「ん?」

 そもそも脱衣所の電気を消してきたろうか、記憶が曖昧だった。ふと、サウナ室に目をやるとドキリとした。

 七輪が扉の横に置かれているのだ、消化された後のようで練炭はうっすらと濡れている。

 麻里奈はゆっくりと小窓から中を覗く、誰もいない。一体どうなったのか。状況からはどちらとも言える、何とか脱出した理沙は七輪の存在に気がついて消化。もしくは理沙が事切れた後に誰かが発見したか。

 前者は非常にまずい、閉じ込めた犯人を理沙は知っているし、七輪が隠されていたとなれば殺意は明確。

 すると、いきなり後ろから肩を叩かれた。

「きゃっ」

 思わず声を出してしまうが、振り返るとそこには直也が立っていた。相も変わらず贅肉のない引き締まった体にクールな目元、薄い唇。

「すべてうまくいった」

 直也は静かにそう言った。

「え、じゃあ理沙は?」

 頷いた直也をみて確信した、勝った、と。

「さっき、病院に運ばれていったが完全に心肺停止していた」

 おもわず、直也に抱きつく。すると珍しく直也の手が麻里奈の腰に周り抱き寄せてきた。

「順平は?」

 あいつを殺人犯にしてこの計画は幕を閉じる。

「一緒に救急車に乗っていった、七輪をサウナ室にセットする様子はバッチリだ」

 完璧だ、完全犯罪の成立。麻里奈はぞくぞくと全身が震えて興奮する体を抑えきれなかった。直也の首に手を回すと唇を重ねた。直也はそのまま舌を絡ませてくる、麻里奈はあまりの気持ち良さにキスだけでイッた。

 たったままで直也は胸を揉んでくる、数年ぶりのセックス。興奮度がピークに達していく。

「荒川は部屋に残ってるんだ、子供たちも」

 あまり大きな声はだすな、と言うことらしい。しかし、麻里奈は直也に敏感な部分を触られるたびに吐息と共に声が漏れた。我慢したくてもできない。

「んっんっ、ダメー、またイッちゃう」

 直也はニッコリ微笑むと、サウナ室の扉を開いた。

「この中なら大丈夫」

「え、でも」

 一酸化炭素は残っていないのだろうか。

「もう、換気してあるから大丈夫だ」

 確かにもう時間も経つ、傍の七輪をみて安心した。

 サウナ室に二人で入り、キスをする。その間、直也はずっと濡れたアソコをピチャピチャと愛撫してくる。麻里奈は再び興奮状態になり、今度は声を出してイッた。

「直也、挿れたいよ」

 もう、足がガクガクで立つことも儘ならない麻里奈は濡れた瞳で直也に懇願する。直也は小さく頷いた。

「あ、ゴムがない」

 どうせ産まれないのにコンドームの必要性が分からなかったが、せっかく盛り上がっている直也の気分を害したくなくて何も言わずに頷いた。

「確か昔買ったやつが抽斗に入ってたはず、取ってくるからそれまでオナニーして待ってろ」

「え?」

「いいから、言うことを聞け」

 今日の直也はSっ気たっぷりだった。初めての殺人に気分が高揚しているのかも知れない、しかし、そんな直也も最高にカッコいい。

「はい、わかりました」

 直也がサウナ室を出ていく、麻里奈は言いつけ通りズボンの中に手を入れて、パンティをずらすと自慰を始めた。命令されてオナニーをする自分に興奮して、濡れたアソコはビクビクと痙攣した。体が熱い、頭がボーっとしてきて何も考えられなくなっていた。
 
「カチャリ」
 
 自らの喘ぎ声に混じって僅かに聞こえた施錠音、ハッと我にかえり顔を上げた。小窓には歪んだ笑みを浮かべてコチラを観察する理沙がいた。なんで、どうして。パニックになる自分をよそに彼女は呟いた。

「バイバイ、麻里奈」
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