真夏に咲いた奇跡の恋花火
甘苦は突然に
夏祭りに誘われてから数日が経った土曜日。



【今駅に着いたよ~】

【これからありさと2人でそっちに行きまーす】



作られたばかりのグループチャットに目を通し、画面上部の時計を確認する。


13時15分。駅からショッピングモールまで歩いて10分くらいだから、5分前には着くかな。



【了解! ケータイショップ近くのベンチで待ってます】



返信してスマホを膝の上に置き、その場でぐーっと伸びをする。


夏休み目前の休日。

いつもなら、お客さんの注文を受けたりご飯を持っていったりと、店であくせく働いているんだけど、今日はお休み。


というのも、夏祭りのお誘いを了承した日、集合場所や待ち合わせ時間を決めていたら……。



『仁田さんと皆吉さんは浴衣持ってる?』

『ううん。甚平ならあるけど浴衣はないなぁ』

『私も。持ってない』

『本当? それなら私達と一緒に買いに行かない?』
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