夕陽を映すあなたの瞳
「よーう、久しぶりだな!昴」

待ち合わせした居酒屋に、慎也はいつもの陽気さで現れた。

「元気にしてたか?仕事は相変わらず忙しいのか?」
「いや、まあ。忙しいけど順調だ」
「ふーん、そっか。それなら良かった」

そう言ってビールを飲む慎也に、昴は急に顔を寄せる。

「なあ、慎也。お前、愛理とまたつき合い始めたのか?同窓会のあとに」

慎也はギョッとして昴を見つめる。

「え、ど、どうしてそれを?」
「まあ、見てれば分かる」
「そ、そうなんですね。さすがは師匠」
「それより、どうやってまたつき合うことになったんだ?どういういきさつで?きっかけは?」

矢継ぎ早に聞いてくる昴に、慎也は押され気味になる。

「ちょ、ちょっと待て。どうしたんだ?お前がそんなこと聞いてくるなんて。お前こそ何かあったのか?」
「いや、何もない。けど、知りたいんだ。どうやって人と人とはつき合い始めるのか」

…は?と慎也は面食らう。

「あ、あの?話が高尚でおっしゃる意味が…」
「いや、そこまでいかなくてもいい。食事に誘うには、どうすればいいんだ?」
「しょ、食事ですか?それはそのー、メシ行かない?とか、腹減ったな、なんか食べてくか?みたいな…」
「そうなのか?!」
「いや、まあ、あくまで私の場合ですが…。ちなみに師匠は、誰を食事に誘いたいので?」
「久住だ」
「……へ?心?いやでも、既に二人はその、師匠同士じゃあ…」

そして慎也は考える。

(え、待てよ。寝たけど、何か?な二人が、スタートラインに戻ってやり直すのか?どういう状況なんだ?)

「あのー、師匠。私にはそのような状況になった経験もございませんし、師匠のような高等な技術も持ち合わせておりません。ですのでその、師匠のやり方でよろしいのではないかと…」
「でも、誘ったけど断られたんだ。別にいいって」
「え、別にいい?」

(さすがだなー、心。ドライだ。スーパードライだ)

慎也は腕を組んで考える。

「ではまた、四人で会うのはどうでしょう?師匠達は、またそこから二人で話すきっかけになれば」
「え、いいのか?それなら助かる。頼むよ、慎也」
「師匠の頼みとあらば、喜んで!」

そうして慎也は、また四人で集まる段取りを組んだ。
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