夕陽を映すあなたの瞳
(なんなんだ?あのバッサリした断り方。しかも言ってることが分からん。また宇宙人の降臨か?一刀両断な宇宙人。あんなやられ方して、瑞希…大丈夫かな?)

先程見たシーンが頭から離れず、昴はコーヒーを飲みながら考え込んでいた。

「伊吹くん、デザート食べた?」

急に心が目の前の席に座り、昴は慌てふためく。

「た、た、食べた、と思う」
「何言ってんの。コーヒーしか飲んでないじゃない。はい、どうぞ」

そう言って心は昴の前に、ティラミスやアイスクリームを載せたプレートを置く。

「あ、ありがとう」

昴はうつむいたまま、小さく食べ始めた。

「んー、9時になったら動画上映してお開きにしようか。少し早めだけど、みんなすぐには動きそうにないもんね」
「ああ、そうだな」
「じゃあ、そろそろパソコンの準備お願いね」
「うん、分かった」

ようやく落ち着きを取り戻し、昴は頷いた。

時間になり、大きな画面に昴が編集した動画を流す。

照明を落とした会場内に、音楽と共に次々と映し出される写真。

皆は、懐かしい!わー、先生若いね!あはは、見てあの慎也のはしゃいだ顔!など、楽しそうに鑑賞する。

文化祭や体育祭、そして卒業式…

まさに泣き笑いの表情で皆は動画を見つめていた。

やがてゆっくりと画面が白くなり、終わりを告げると、一斉に拍手が起こる。

「とっても良かったー、感動的!」
「ありがとうね、昴」
「この動画、送ってくれない?保存したいの」

昴は笑顔で頷いた。

「分かった。あとでグループメッセージに送っておくよ」

同窓会は大いに盛り上がり、皆は満足そうに、そして名残惜しそうに会場をあとにした。
< 53 / 140 >

この作品をシェア

pagetop