千瀬垣くんの所有物には絶対ならない！

００：プロローグ

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こんなにも理不尽なことって、他にあるだろうか。



「──キミだよね？今日から俺のお世話係に任命された子って」


名だたる有名人やお金持ちが住んでいるというこの地区の中でも、特に目立っているタワーマンションの最上階。

壁一面がガラス張りになっていて、外から見る景色はまさに絶景そのもの。



「お、お世話係！？違います！私はただ、週に２回、ここであなたの話し相手になってあげてほしいと頼まれただけで……」



そんな高級マンションに１人で住んでいる、彼の名前。

千瀬垣　優世(ちせがき　ゆうせ)──。



日本屈指の資産家、『千瀬垣家』のたった１人の御曹司。

千瀬垣くんと私は同じ高校に通っていて、そして今日から……私のバイトの雇用主となる人。








「えー。でもさぁ、キミ……じゃなくて彩加(さいか)ちゃん、だっけ？」

「は、はい。南野　彩加です」

「彩加ちゃんはさ、俺のじいさんに頼まれてここに来たんだよね？」

「そう、です……けど」