タロくんとハナちゃん
それから━━━まるで恋人になることが決まっていたかのように太朗と華子は心を通わせて、あっという間に恋人同士になったのだ。

太朗は華子に対しては、本当に柔らかく優しく微笑み慈しむ。


「可愛い…可愛いなぁ、ハナちゃん…!」

華子の引っ越し祝いが始まり、みんな酒を飲みながらわいわいと楽しんでいた。
(華子はジュース。
しかし俊彦は、酒を飲んでいる)

太朗と華子は、ソファに並んで座り仲良く食事をしている。

「ちょっと、切りすぎました…」
髪の毛を触りながら、苦笑いの華子。

「え?そうかなー?可愛いよ?」
そんな華子に、満面の笑みで言う太朗。

「だったら、いいですが……」

「ほんと、思い出すなぁー
初めて逢った時のこと!
一目惚れして、とにかくハナちゃんを手に入れたくて毎日口説いたよねー(笑)」

「あ…/////
でも、私も…一目惚れでした…/////」

「フフ…やっぱ、運命だね!僕達!」



『……………運命だよ、きっと』

想いが通じ合った時、太朗が言った言葉だ。

『僕達、必然的に出逢ったんだよ、きっと!
理一郎が連れて来たのは、必然。
お互いに一目惚れしたのも、必然』

ドラマのセリフのような言葉。
でも華子にとっても、そう思えるような恋だった。



「━━━━━相変わらず、男臭いとこだなぁー(笑)」

そこに、太朗に負けず劣らずのオーラを放った男が近づいてきた。

「「丸雄(まるお)!!?」」
「「「丸雄さん!!?」」」

「久しぶり!五年振りくらい?(笑)」

太朗達が、驚き見ている。

「おっ!男臭いと思ったら、可愛い子がいる~」
丸雄が華子の存在に気づき、微笑み寄ってきた。

「……/////」
(だ、誰!?
それにしても、綺麗な人…////)

「君は、タロちゃんの恋人?」
太朗と華子が座っているソファの向かいのソファに座った、丸雄。
微笑み言った。

「は、はい////」

本当に“美しい”という言葉が合う男性だ。

こちらに向かってくる表情、歩き方、所作、足を組んで座っている容姿も。

「僕は、御堂 丸雄。
わかるかな?」

「え……あの、御堂財閥の…?」

「そう!あの最大の財閥・御堂財閥の息子。
で!タロちゃんの兄です!」

「え?え?お兄さん?」
(タロくん、一人っ子じゃ……
しかも、苗字も違う)

「あー、でも。
半分だけどね!」

「え?
半分?」


「タロちゃんはね。
僕の父さんの愛人の子!
僕達は、異母兄弟」

丸雄の声が、たまり場に響いていた。
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