仕事サイボーグな私の恋愛事情~人生は物語のようには上手くいかない。それでも…また恋を始めても良いですか?


「さあ、中に入って」

 グイッと引っ張られ、慌てて靴を脱ぐと一番奥の部屋の扉を涼が開いた。すると目の前に大きなガラス張りのリビングが現れる。この辺に大きな建物は少ないためきっと昼間なら街全体が見渡せるのでは無いかと思った。今は夜のため夜景がキラキラと輝いている。

 凄い……。

 ボーッと外を眺めていると、後ろから涼が包み込む様に抱きついてきた。

「あっ、あっ……あの……笹原さん」

「美月さ……気になってたんだけど、その笹原さんって言うの止めない?」

「でも……」

「昨日は涼って呼んでたよ」

「私……ホントに覚えて無くて……」

「……呼んでた」

 涼から強い圧のようなの物を感じとり、美月は笹原の呼び方を涼に変えた。

「……涼」

「うん!何?」

 自分の名が呼ばれ、嬉しそうに頷く涼。

 別に何かあって涼の名前を呼んだわけでは無い。それでも嬉しそうに返事をする涼の姿に、美月は唖然とするしか無かった。










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