ピアニストは御曹司の盲愛から逃れられない

 人目につくかもしれないと自覚している。

 手を繋いで女性と歩いたりしないので、俺を知っている人間が見ると驚くのだろう。

 彼女と噂になるのは構わない。

 いずれ特別な関係になると決めている。

 鐘がなって、後半が始まる。

 オレンジのドレスを着た俺のプリンセスが歩き出した。

 後ろから手を握ってやると彼女がこちらを見てにっこり笑う。

 ふたりで扉へ向かった。
 
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