麗しの香道家は、傷心令嬢を甘く溺愛して離さない。
第4章

◇新婚さん



「――英那! こっちだよ」

「郁美、お待たせ」


 結婚式から一週間。
 新婚だからと一週間は宗一郎さんと過ごしたのだけど、今日からお仕事の彼は佐山邸に出かけて行った。


「英那に会えて嬉しいよ! なんだか、久しぶりにあったけど幸せそうでよかった〜」

「私も嬉しい。結婚式もきてくれてありがとうね」

「全然だよ。綺麗な英那が見られて私も満足だし、何より英那の旦那様! めちゃくちゃ目の保養だった〜」


 キャッキャ言いながらもメニュー表を私に向けて「何にする?」と問いかける。というか、郁美も人妻じゃんか……と思ったけど、それを言うとヤキモチかとか言われそうだから言わない。

 お互い好みが一緒で今日の気分は甘いものだったためフルーツのスフレパンケーキにアイスティーを注文する。

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