【電子書籍化予定】麗しの香道家は、傷心令嬢を甘く溺愛して離さない。



「……お待たせ、英那ちゃん。紹介する、友人でここで医師をしている葛城(かつらぎ)慎也(しんや)だ。で、慎也。こっちが妻の英那」


 葛城先生は「よろしくね」と言って挨拶をしてくれたので私も挨拶をする。


「じゃあ、ここでずっと話すのは邪魔になるし宗は有名人だから案内する」

「よろしく頼む」


 私たちが案内されたのは、西にある特別棟と呼ばれている棟へと案内された。特別棟は、有名人や立場のある人専用になっていて紹介制らしい。私は?と一瞬思ったけど、宗一郎さんと先生がお友達だからかと思い直す。

 特別棟の扉が開けば、ここは病院か疑うほどに綺麗な高級ホテルのフロントのような空間が広がっていた。普通は受付で問診票を書くのだけど、葛城先生の案内だからか個室に案内された。

< 197 / 222 >

この作品をシェア

pagetop