麗しの香道家は、傷心令嬢を甘く溺愛して離さない。
◇エピローグ
「……久しぶりにゆっくりして来なさい。私たちが煌くんのこと見てるから」
あれから三年の月日が経った。あの小さかった赤ちゃんは宗一郎さんと一緒に考えて『煌太』と名付けた。
彼が生まれて、私の両親も義両親も大喜びだった。両親にとっては三人目の孫でお義母様やお義父様にとっては初孫。とっても溺愛している。ゆっくりして来なさいって言うけど、これは煌太と遊びたいと言っているようなものだ。それにデレデレな人はもう一人……それはお兄ちゃんだ。
元々クールな感じの顔なのに、それが緩み切っている。完全なゆるゆるだった。
そして、教室で一緒だった倉橋さんと橘花さんとは今も交流が続いていて月に一度は食事会をしている。煌太のことも可愛がってくれていて、毎年誕生日にはプレゼントを持ってきてくれたりしていて煌太とも仲良しだ。
「じゃあ、煌太。いい子にして待ってるんだぞ」
「うん!」
元気よく返事する息子に撫で撫でする宗一郎さんは、とても尊いし可愛い。
煌太はとても宗一郎さんに似ていて将来とんでもないイケメンになるんじゃないかって思ったりしている。
現に、保育園でも女の子にモテモテだし保育士さんにも「今日もかっこよかったですよ〜」と出来事と交えて言われることもあったりするし……
そんなことを考えながら玄関まで行くと煌太に見送られて外に出た。私と宗一郎さんは車に乗り込んだ。