エリート建築士は傷心した彼女を愛し抜きたい
「あぁ……蒼司、さんっ……」


 両手が蒼司の指と絡み合う。しっかりと握られ肌と肌が隙間なく重なった。お互いに汗ばんだ身体はよりいっそう密着感を増す。


「菜那さん……貴女との子供が、欲しいっ……」


 え、それって――。


 蒼司の動きがより一層激しくなり、菜那は頷くことしか出来ない。


(私も、蒼司さんとの子供が、欲しいっ……)


 出会ったばかりの人なのに、こんなにも強く惹かれている。五年も付き合った元カレとはこんなに強い思いを抱いたことはなかった。心の底から、蒼司との子供が欲しい。


「そ、しさんっ……キ……んっ」


 キスして、と伝える前に唇が重なった。吐息がまじり、まるで一つの人間になったよう。


「んんっ……ンんっっ――」


 競りあがる高揚感に菜那は背を逸らした。ドクドクと自分の中に蒼司を感じ、幸福感でいっぱいだ。息を切らした蒼司はゆっくりと身体を上げ、菜那の額にちゅっとキスを落とした。

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