うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
 なんでそこまで食いついて来るのか分からないけど、本当に告白されたことなんてない。

「そりゃあ、私に気があるのかな?ってそぶりを見せる人は何人かいたけど……でもそれ以上何もなかったからきっと気のせいだったんだろうし」

 私の勘違いだったんだろうなってエピソードまで話すことになって恥ずかしい。
 これ以上は聞かないで欲しいと思ったら、今度は三人で顔を寄せ合って何か話し出した。

「……どう思う?」
「多分みんなけん制しあって告白出来なかったパターンだよ」
「そうだね。きっと女子の妨害もあったんじゃないかな?」

 私の話を聞いてもらうはずだったのに、何だか三人で固まって話し出してしまい本題に入れない。

 困って雄翔くんに視線を向けると、彼も同じ困った表情。
 流石に女子の話に割り込むのはハードルが高いのかもしれない。

 ここは私がちゃんと言わなきゃダメだよね!

 雄翔くんに頼りっぱなしは良くないと思い直す。
 そしたら、タイミングよく三人が同時に私の方を向いた。

「とりあえず、流歌はこれからも帽子と眼鏡は必須ね!」
「素顔さらしたら騒動になりそうだから!」
「元々目立ちたくないって言ってたし、その方がいいよね?」

 藤子ちゃん、千代ちゃん、千絵ちゃんの順に話されて口をはさむヒマがない。
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