うた×バト〜思いは歌声にのせて〜
「流歌、あとのことは考えるな。どんなに目立っても、俺が盾になって守るから。だから何も気にせず、長澤とのバトルに集中しろよ」

 優しく、力強い言葉がスゥと私の中に入りこむ。

 そっか、私バトルじゃなくてその後に目立っちゃうことを心配して震えてたんだ。
 そのことは考えないようにしていたから、自分ではどうして震えているのか分からなかったのかも。

「うんっ……ありがとう、雄翔くん」

 硬い、男の子の手から伝わる雄翔くんの熱い体温。
 熱と一緒に勇気も伝わって来たみたい。

 震えは止まっていた。

「私、頑張るよ!」

***

 フィールドは岩山だった。
 中国の写真で見たことがある様な、大きな岩山が遠くに見える。

 ごつごつした岩場のフィールド属性は土。
 長澤さんは火で、私は木属性だからどっちもフィールドの影響は受けない。
 有利じゃないけど、不利にもなってない分助かったかな?

 ちなみに私の“ヒトガタ”はちゃんと投影されてるみたい。
 視点が自分だから顔は見れないけど、着ている制服とかプラチナブロンドの髪が見える。

 きっと観覧席では注目を浴びてるんだろうなって思ったけれど、今は考えないようにした。
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