夜空へ虹の架け橋を

 心の中にもやっとした影が現れると、代わりに美輝が結弦のお祖母さんに訊ねた。


「あの、葵ちゃんって?」

「あら、そこまでは聞いていないのね。葵ちゃんは結弦の幼馴染みよ。小さい頃はよく一緒に遊んでいたの」

「へえ、じゃあ結弦と仲いいんですね。琴音、心配だねえ」

「べ、別にそんなこと……」


 幼馴染みって誰? そんなの聞いたことないんだけど。


「葵ちゃんは明るくていい子でねえ、お休みの日はよく店番してるから、今日もいると思うわ。仲よくなれるといいわねえ」


 幼馴染みという言葉を聞いて、わたしのもやもやが膨らんでいく。

 なにもないのはわかっているけれど、なぜか不安になってしまう。

< 132 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop