酸っぱい葡萄を甘くする

序章

夢が色鮮で明確になればなるほど、

脳は覚醒し現実を生きている、らしい。

私はいつから夢を見ているのか分からない。

起きているのか寝ているのかも分からない、


言えば死んでいるのか生きているのかも、


もう何もわからなくなってしまった。

おまじないのように
ラベンダーの香りの精油を枕に垂らしても、
ラム酒を垂らしたホットミルクを飲んでも、
夢を見なかった日はなかった。

そして大体の夢の内容は

事実を再生してばかりで、

やってしまった罪をじわりじわりと私の胸を締め付けては何度も目を開けさせる。

そこにあるのはまだ薄暗い外の明かりを少し反射している天井と、チクチクと時を刻む秒針の音だけだった。

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