上司の甘い復讐



「なあ、大倉」


ハゲ崎は表情一つ変えずに言う。


「てめぇ、そんなに俺が嫌か」



嫌だ。

世界で一番嫌だ。

だけどさすがにその言葉はぐっと堪えた。

代わりに言う。



「かっ、川崎さんに襲われたりしたら……」


「誰もテメェみたいなチビカス、襲わねぇよ」


ハゲ崎は苛ついたように吐き出し、行くぞと鞄を抱えて出て行ってしまった。

そんなハゲ崎の後を慌てて追いかける。

案の定、部屋の中がざわついていて、


「瑞希ちゃん、頑張って!」


気の毒な顔の横山さんの声に送り出された。



頑張ってって、横山さんも他人事だと思って!!



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