上司の甘い復讐



「ねー、ミキちゃん。

本当にあの映画でいいの?」


ピンク色の私に、ハゲ崎が少し戸惑ったように聞く。


「うん、いいよ。

私ずっと観たかったんだから!」




そう、今日はハゲ崎と映画を観に行く約束をしている。

私が一目置いている、イケメン俳優が出ている映画だ。

ハゲ崎と遊ぶより、イケメンを観ているほうがよっぽどいいと思って選んだのだ。



「そっか。じゃあ、ミキちゃんが観たいって言うなら見るか」


ハゲ崎はそう言ってチケットブースに並び、当然のように私のチケットまで買ってくれる。

そして二人で映画館に入ったのだが……




入ってすぐ、あまり人がいないことに気付く。

少し離れたところにいる数組のイチャイチャしているカップルと、あとは同姓のグループが数組。

もしかして、すごいハズレ映画を引いてしまったのかと不安になったが、その予感通りだったのだ。


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