上司の甘い復讐



そんな中、


「翔太!」


ハゲ崎を呼び止める女、このオフィスのアイドル早乙女さんだ。

ハゲ崎との甘い時間に酔って、彼女の存在を忘れていた。

ハゲ崎はミキのことを好きなんて言いつつ、早乙女さんにも手を出し続けるつもりなのか。

分かっているが、胸がずきんとしてしまった。




ハゲ崎は私の元を離れ、早乙女さんのほうに歩いていく。

そんな奴の背中を見ながらも、おもいだしてしまった。

……キスしてしまった。

ハゲ崎なんかと、キスしてしまった。

ハゲ崎は臭いかと思ったのに、全然臭くなかった。

いや、逆にいいにおいがした……

思い出すだけで胸が熱くなり、きゅんと音を立てる。

今や私の頭の中は、ハゲ崎でいっぱいだ。



「あれ?瑞希ちゃん、顔真っ赤だよ?

どうしたの?」


横山さんの声ではっと我に返った。

私としたことが、ハゲ崎のことばかり考えていた。

まだまだハゲ崎沼から抜け出せないようだ。

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