来世なんていらない
「みん…なっ…ありがとう…私を見てくれて…ありがとう、頑張ろうね…」

「おー!!!」

演目チームは龍を担いで始まりのポージングで待機。
掛け声を飛ばしてくれる生徒達はそのサイドへ。
私は龍の先頭へ。

玉を高々と掲げる、同時に曲が流れ出した。

何も考えられなかった。

一心不乱に玉を上下させる。
その玉を追って龍が乱舞した。

頭が高く天を仰いで、胴体が波を打ち、尻尾がはねる。

頭がグネグネと蛇行する胴体の下を潜り、右に左に動き回る玉に喰らいつかんとする。

龍はきっとこの玉を飲み込むだろう。

私が望んだように雨が降って、地は固まる。

願った以上の花が咲いて、
きっともう誰も泣かずに済む未来が来る。

半袖の体操服から見える自分の左腕。
そこにはいくつもいくつも自分で刻んだ線。

この傷を一生憎んで生きていくんだって思ってた。

どうせ私だから。
誰の目にも私は映らない。
生きていると勘違いした死人なのかもしれない。
そう思って自分を殺そうとしてきた私がどうか成仏しますように。

明日の私が、大好きな人達が笑っていますように。

左手首のリストバンド。
私が生きていてもいいって証。

私は生きていていいんだ。
ここに居る。勘違いなんかじゃなくて、
ここで、生きていていいんだ。

クラスメイトの掛け声が龍を呼ぶ。

涙がこぼれる。

掛け声に紛れて泣いた。

明日も生きたい。

生きたい。

生きたい。
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