来世なんていらない
展望台から下りた時、トイレに行って戻るからって、真翔は私とは違うほうに歩いていった。

一緒に戻ったらまた誰かに陰口を言われる。
真翔が気遣ってくれたんだって分かった。

集合場所に戻ったら、みんなが真翔を探していた。
私のことは誰も待っていなかった。

クラスの列の一番後ろに並んだら、前に並んでいた男子に、「小高、見なかった?」って訊かれた。

首を横に振ったら、何も答えないままその男子は前を向いてしまった。

五分くらいして真翔が走って戻ってきて、私の後ろに並んだら、「どこ行ってたんだよー!」って、前に並んでいた男子達も真翔のほうに行って、数人に押されて最初よりも私のほうが前に来てしまった。

みんなが真翔を求める。
誰も私のことは求めていない。

それは変わらない。
それでも今は平気だった。

右の手で左腕を掴んだ。

真翔が貼ってくれた絆創膏のとこがドクンッて脈打ったみたいな気がした。
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