来世なんていらない
ママがさっきまで家に居た痕跡はいくつもある。

この時間から出ていくってことは、きっと今夜は帰らない。

明日は土曜日だから学校は休み。
久しぶりに昼前くらいまでゆっくり眠れそう。

テーブルの周りを簡単に片付けて、お風呂に入った。

十八時。
そう言えば、一日中何も食べていない。

遠足の時は真翔と話してるうちに集合時間になったし、お腹が空いていることも忘れていた。

さっきリュックの中身を片付けた時にテーブルの上に置いたコンビニの袋を掴んだ。

中にはまったく手を付けていないおにぎりと、半分だけ包装を破いたおにぎり。

包装を破いているほうは、強く握り締めていたのか、若干潰れてしまっている。

冷蔵庫から麦茶のボトルを出して、グラスに注いだ。
テーブルに持っていって、誰も聞いてなんかないのに、いただきますって言って、おにぎりを食べた。

来年の遠足は、その気になったらお弁当を作ってみようかなって思った。

バカにされたくないなら、傷付きたくないなら、私が変わってみるのもいいかもしれない。

「おいしい」

コンビニのおにぎりも美味しい。
すごく。すごく。
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