愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました
「よく分かった」

ノア様が執事たちを押し退け、バルコニーの真下まで近づく。

「あら、分かって下さいましたの?」


「ああ、これから毎日セレアに愛を伝えよう」


「何をおっしゃいますの・・・!」

「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」

そう言って、ノア様は小さく微笑んだ。


「セレア、一つ言っておく。君には想い人がいるかもしれないが、他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」


「そんなことノア様に制限されたくありませんわ・・・!」


「セレア、君は私から逃げられると思っているかもしれないが、私は狙った獲物は絶対に逃さない」


そう言って、ノア様はバルコニーの下に一輪薔薇を置いて帰って行った。
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