イノセント・ラブ・アフェア
洋介は目を開け、うーんと伸びをすると、私におはようのキスをした。

そして、仕事があるからと言って、ジーンズに足を突っ込んだ。

「またね」

部屋を出る間際、洋介は言って、私の頭をそっとなでた後、優しいキスをした。

まるでその唇は、「続きはまた今夜ね」って言ってるみたいだった。

そう、ちょうど、読みかけの本にしおりを挟むような…。

私は、キスを受け止めたポーズで硬直したまま、洋介の背中を見送った。

私に口付けるしぐさが、あまりにも自然で、かえってこっちが調子が狂うよ。

こんな別れ方って、ずっと付き合ってる恋人同士みたい。
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