天使くん、その羽は使えません (短)
「うん」


よろしくね、天使くん――


そうして私は、天使くんと一緒に、家に帰る事になった。

あ、そうだ。これから一緒に暮らすってことは、天使くんの事を名前で呼びたいな!


「ねぇ、名前を教えてよ!」

「……長いよ?」

「いいよ!」


だけど、天使くんの口から出てきたのは……なにやら呪文みたいなカタカナで。しかも長い。長すぎる!私は手を上げて「ストップ」と中断した。


「ごめん……。名前の件、もう少し後回しにしてもいい?」

「そっちから聞いたくせに」

「スミマセン……」


そういえば……私と出会ってから、天使くん一度も笑ってないなぁ。っていうか、無表情。


「ねぇ天使くん、笑ったら?」

「……うるさい」


無表情な天使くん。

そんな彼と、今日から同居スタートです!

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