3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜
……ああ、やっぱり瀬名さんは何て素敵な方なのでしょうか。

その落ち着いた柔らかい物腰に、全てを溶かしてくれる甘くて優しい声。

それだけで、私の心は段々と満たされていき、胸が高鳴ってくる。

やっぱり、これが世に言う恋心というものなのでしょう。

憧れとも違う、胸の奥が熱くなるような、もっと彼の側にいたいような。

そんな愛しい気持ち……。


そう思う程に自分の頬が徐々に熱を帯びていくのが分かる。

それを何とか悟られまいと、私は瀬名さんから目を逸らして、高鳴る鼓動に手を充てた。


とりあえず、瀬名さんが居れば何とか乗り越えられそうな気がする。

……というか、瀬名さんの側で働きたいので、ここは何としてでも耐えなければいけない。


大丈夫!

人というのは慣れていく生き物!

石の上にも三年と言いますし、きっと苦しいのは今だけな筈です!


そう自分に言い聞かせて、奮い立たし、私はこのVIP階層のルームサービス係として任務を全うしていこうと、更なる気合いを込めて小さく拳を握りしめたのだった。
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