3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜

第16話.最悪な同期〜白鳥回想話〜

欲望なんてない。
野心もない。
安定した生活を送れるのならお金もそこそこにあれば十分。
昇任意欲なんてないし、したいとも思わない。

とにかく自分の時間を大事にしたいから、仕事は迅速かつ的確に。
変ないざこざには巻き込まれたくないので、極力人との接触を避け、細く長く静かに生きていければそれでいい。

そんな人生を目標としていたのに……。

ある日を境に、私の計画は狂い始め、目指していたものと逆の道を辿る事になってしまった。

こんなはずじゃなかったのに。
ただ穏やかな日々を過ごせればそれで良かったのに。

そんな平凡な望みすら持つことが出来なくなってしまったのは、全てあの男に出会ってしまったせいだ。

ある日を境に、私は、私でなくなってしまったのだから……。
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