らんらんたるひとびと。~国内旅編~
 無駄な体力は消耗したくないので、誰も一言も喋らなかった。
 この先に待ち受けるのは、辛い・悲しい・苦しいだけのオンパレードだ。
 斜面がどんどん険しくなっていって。
 酸素が薄くなっていって。
 草木が減っていって。
 ただ、黙々と歩くのみ。
 そのうち、白雪姫が一人遅れだして。
 ジェイが「先に行ってくれ」と告げる。

 出来るものなら、一人で登りたい。
 大勢で歩けば、歩くほど。
 相手に合わせなきゃいけなくなる。
 疲れが蓄積してくれば、イライラがピークになってきて。
 脳裏にツバキ団長が浮かんだので、蹴っ飛ばした。
 ジェイが白雪姫と一緒に歩いて後ろから追いかけてくるだろう。
 振り返ることはしたくない。
 白雪姫がもうちょっと体力あればなあ…とか、自分勝手に思い始めて。
 こんな自分を殴りたくなる。

 まさに、自分との闘い。
 日が暮れ始めて。
 立ち止まって、ジェイと白雪姫を待って全員が集合すると。
「もう日が暮れるから、ここまでだな」
 年長者らしくホムラさんが言ったので、皆頷いた。
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