らんらんたるひとびと。~国内旅編~
 ホムラさんは私たちの近くに立つと、
「シナモン殿、ちょっと話がある」
 と低い声で言った。
「わたくし…ですか?」
 シナモンが立ち上がると、
 2人は少し離れたところまで歩き出した。

 こんな夜中に何を話すことがあるのか。

 2人を眺めながら。
 底知れぬ不安に襲われる。
 ドラモンド侯爵から命令されているのかもしれない。
 かつて、シナモンが働いていた中央部のスペンサー家の情報を聴きだせ…とか?

 モヤモヤしていると。
 5分も経たないうちに、シナモンが速足で戻って来た。
「ミュゼ様、わたくし頑張りますわ!」
「ん? なにを」
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