らんらんたるひとびと。~国内旅編~
 ジェイの真面目なところは好きだ。
 私と、白雪姫はどちらかといえば、ガサツだから。
 ジェイのような真面目な男がいると、しっかりと任務が遂行できる。
 でも、時折。
 そのジェイの真面目なところがイラッとしてしまう。
 過去に負った傷をえぐり返されるような…

 わかってる。
 ジェイが悪いわけじゃない。
 全部、私が悪いんだから。

「なーんか、嫌な天気じゃない?」

 空を見上げて、白雪姫が言った。
 峠道で、まさかと思い全員が空を見上げる。
 ティルレット王国は晴れの国だというのに。
 ここで、雨が降ったらぶち壊しになる。

「目的地の集落までは、あと2時間ってところだろ? この天気、持つか?」
 我々が、ぎゃーぎゃーと言っているうちに。
 ぽつり、と水滴が天から降ってきた。

 見渡す限り、この辺に民家はない。
 旅の中で初めての天候によるアクシデントだ。

「前方に、小屋のようなものが見えますわ。あそこに避難しましょう」
 シナモンが指さした先は靄がかかっていて、よく見えない。
 思わず「うん?」と首を傾げると。
「え、シナモンさん。どこあにある?」
 と、ジェイが首を傾げる。
「おいらは、見えたぞ! いっそげー」
 白雪姫が走り出す。

 上空からバリバリバリ…という嫌なが音がする。
 砂利道になっているので、走るのに苦労しながら。
 白雪姫の後ろを追った。
< 61 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop