離縁の理由は愛されたいと思ったからです
「あの店を見ていたらそう思うよ。だから安心してみんな買い求めることが出来るんだろうね。なによりも掃除が行き届いている所は好感が持てるよね。つい経営者目線で見てしまうところがあって、スタッフの対応や隅にゴミが溜まっていたり……なんて気になるんだ。小姑みたいだな……」

 庶民の街の菓子でさえあのクオリティ。ルーナ自身で包装していたんだ。スタッフに求めるだけではなく自身で店を作っているんだ。

「ふふっ小姑だなんて。でもそうですね。他のお店に行くと良いところは真似したいって思いますよね。悪いところが目に付くとうちは大丈夫かしら……って気になりますもの」

「だよね?」

 と言って二人で笑った。


 しばらく見学をしてお茶をしにルーナの店のカフェに行く事になった。



「個室の方が良いですよね? 用意しますね」

 あぁ、二人でいるところを見られたくないんだな。二人と言っても、私にはリュウがルーナにはスージーと言う侍女がついているし、護衛もいるんだけどね。ルーナがそうしたいと言うなら、そのように準備してもらおうと思った。見られても私は困らないけどルーナは……ばかりだ。(言いたくないワードは隠しておく)

 個室に案内されて、お茶を楽しむ事にした。季節のフルーツを使ったタルトなんかも用意された。細部にもこだわっている美しいタルトだった。

「とても美味そうだね。いただきます」



 ! こんなに甘いフルーツがあるなんて! 生でこの甘さとは……産地にもこだわっているんだろうな。


「このフルーツは、伯爵家で作られているんです。肥料や土づくりが他とは違って甘くなるそうなんです。手が込んでいるので量は作れませんので季節限定です」


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