離縁の理由は愛されたいと思ったからです
 ? 一年だけ? なんの話だろう


「失礼、ルーナ嬢はどこかへ行くのですか?」

 話の腰を折るのはどうかと思うが、ルーナがいなくなる? ルーナとの縁もここまでなのか……と思うと残念で、魂が抜けていくようだった……



「えぇ、隣国の学園に入学して経営学を学びますの。フェルナンド様のお父様が勧めてくださったんですのよ」

 隣国? デュポン伯爵が勧めてくれたという事はうちの国で良いのだろうか? ルーナとの縁はここまでと思っていたが、もしかして……!


「うちの国の学園ですか? 王立学園には留学生もたくさんいますし、ルーナ嬢にとって素晴らしい学園生活になると思います。私も卒業しましたし経営学を選択していました」

「まぁ! そうでしたのね、それは楽しみですわ」

 良かった! また会えるのだろうか……


「そういえばお店はどうなさるのですか? 離れていては困りませんか?」


 庶民街の店はまだ開店して間もないから心配だろうに。


「兄が代わりに管理をしてくれますので心配はありません。信用していますし店のコンセプトや今後の展開、事業計画書を提出するように言われましたの」


 アルベーヌ殿が代わりにか……身内だから安心だろう。それに国にいたら色々と噂が絶えないのだろう。噂が落ち着くまで国外にいるのはいいことなのかもしれない。


「そうでしたか。もしよろしければ国を案内させてください。美味しいお店もリサーチしておきますよ」

 ルーナが好きそうな店、うちの国ならではのものを紹介できたら楽しんでもらえるだろうか。


「まぁ、それは、申し訳ありませんわ。卿はお忙しい方でしょうから、お言葉だけ頂いておきますわね」

 壁がある。しかも高い。


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