離縁の理由は愛されたいと思ったからです
「はい。エミリオ様がどうしてもとおっしゃるので、エミリオ様の為だと思ってください。それにこのドレスに合わせるとよりお嬢様の美しさが際立ちます!」


 四人のメイドとメイド長は満足げに頷いた。シンプルだけど美しい品物。私の好みではある。


「エミリオ様にお礼を言わないと……」


 体は元気だけど心はへとへと。


「待ちかねている頃だと思います。お嬢様こちらへ」


 メイドの手を借りて階段を降りて行くとエントランスでエミリオと夫人が待ち兼ねていた。



「まぁ! ルーナさん素敵ね! みんな良かったわね」

「「「「はい!」」」」


 メイド達が声を揃えて返事をした。公爵家のメイド達は優秀だわ……


「エミリオ様、お待たせいたしました。それとアクセサリーまでプレゼントしていただいてありがとうございました」



「ドレスも贈れば良かったのに! そのドレスもとても素敵だけど、ってエミリオ? どうしたの」

 夫人がエミリオに言った。ドレスは断ったんですよ。と思いながらも笑みを浮かべた。

 一方エミリオはまじまじと私の姿を見てポツリと

「いや、美しすぎて……」


 一言だけ……きっと本心で言ってくれているのだろう。とても嬉しい反面恥ずかしくて顔が赤く染まってしまった。


「あら……まぁ」

 夫人が苦笑いをしてエミリオと私の姿を見る。


「エミリオぼさっとしてないで、ルーナさんをエスコートしなさいな。時間に余裕を持って行動なさい。道中何があるか分からないんだからね!」

 夫人はエミリオの背中を押してエミリオが私に手を差し出した。

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