離縁の理由は愛されたいと思ったからです

プレオープン

プレオープン


 さて迎えたプレオープン初日。

 立ち仕事って疲れるのね。たった数時間立ったままだっただけなのに、足がパンパンだわ。

「「いらっしゃいませ」」

 あら、お客様だわ。笑顔で明るく!

「すみません」

「はーい、お決まりですか?」

 疲れていても笑顔、笑顔! 


「君のおすすめは何?」

 男の人が一人で買い物だなんて珍しいわ! だってここは女性向きのお店だもの。彼女へのプレゼントかしら? それにしても大きな人ね。体格も良さそう。


「そうですね、このスノーボールと言うクッキーがオススメです。周りの粉砂糖が、中のクッキーと合わさると口の中でホロホロと溶け出すんですよ! 見た目よりも甘さが控えめで、中にセサミが入っているのもおススメです。ただしこのままだと手が汚れるのが難点ですので付属のピックをお使いください」

 笑顔で元気に明るく! お店のクッキーを食べて元気になってもらう事が一番嬉しい……そしてリピーターになって貰いたい。


「美味しそうだね、それでは君のおススメを貰おうかな」

「ありがとうございます。今お包みしますね」

 代金を支払って貰い、包んだ物を渡した。

「君はこのお店で働いているの?」


 ……オーナー兼売り子としてです。とは言えない。こんな小娘がやっている店と思われたら信用がなくなるかもしれない。

「はい。毎日ではないですけれど働いています」


「そうか。また来るよ」

「お待ちしております」

 笑顔で見送った。

 今日の営業は昼から夕方までの数時間だった。売上は上々で納得のいく数字だった。



「皆さん今日はありがとうございます。明日からまたよろしくお願いします」

「「「「「はいっ」」」」」

 ふぅ。と、一息をつくとスタッフの一人に声をかけられた。

「ルーナさん、やはり人気でしたね!」

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