離縁の理由は愛されたいと思ったからです
 俺はこの国と交流のある隣国の公爵家の嫡男。まだ婚約者もいないし、両親からは早くしろ! と急かされている。まぁいつかはするであろうけれど、生涯を共にするのなら愛のある生活をしたい。と思っているが恥ずかしくて言えないのだ。

 結婚生活を夢見て何が悪い!


 貴族の結婚は政略結婚が多い。それでも恋愛結婚は許されていて、若い貴族の間では身分問わず結婚している。この国はそういう面では厳しいらしいが、うちの国はその面に関して寛大だ。


 愛がある家庭が良いじゃないか! 父は公爵家嫡男として幼い頃から母と婚約をしていた。元々幼馴染だったらしく恋をしたわけではないが、母と結婚出来て良かった。と言っていた。母も同じ考えだそうだ。
 
 恋愛結婚じゃないけれど家族に愛情はあるもの。だから貴方達が産まれて幸せよ。と言った。いろんな形があるのだろう。

 そんな両親だからこそ、もう少し待ってくれ。と言っても渋々分かった。と言ってくれているがリュウを含めた俺の周りにはネチネチと愚痴っているようだ。

 みんなすまない……。


「今度のパーティーで可愛い子がいて、エミリオ様の心をガッツリ射止めてくれたら良いですねぇ」


 リュウは軽口しか叩けないのか……。でも仕事面においては優秀だ。

「そろそろ行くぞ。待たせては悪い」


 フェルナンド・デュポン。俺のすんでいる国では伯爵家の子息だが、こちらではデュポン子爵だ。

 輸入の仕事をしたり、店舗の改装や不動産までしているのだそうだ。父親譲りの商人そして建築業まで幅広く活躍しているようだ。


「フォンターナ卿、ようこそ」

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