離縁の理由は愛されたいと思ったからです
「こんな時だがやらねばならないことがある事に感謝するんだな。帳簿! ちゃんとつけとけ。ここの数字が間違っている。それと来週のパーティーは仕方がないからエスコートしてやる」


 やっぱり調子が狂っちゃうわ。帳簿を広げていたけれど、パッと見てわかるなんてお兄様は何者なの? あ、優しい時についでにお願いもしておこう。


「今度、私も外国へ連れて行ってくれる?」


「……馬車の長距離移動は尻が痛くなるんだ。覚悟しておけよ」

 今度は私の頬をぎゅっと摘んで行ってしまった。お兄様は恥ずかしがり屋さんなのね。


 新しく鉄道が通る。それに乗って旅に出たい。


******


「最低ですわ!」
「紳士の風上にもおけません」
「女性の尊厳を傷つける行為ですわ」
「愛人を同じ敷地内に住まわせるなんて」
「ちょん切ってやりましょう!」



 これは[女性の尊厳を守る会]と言う団体の会話だ。

「激しく抗議させてもらいましょう!」


 離縁が決定となり、ジョゼフへの風当たりが強かった!


「何か取り憑いているのかもしれないわ!」

「憎むべき愛人とは言え女性に手をあげた事は許すまじき行為ですわ!」


「助平な悪霊が憑依しておりますのよ! ルーナ様は天使の如く美しい心をお待ちだから手が出せなかったのよ!」




 皆がその意見に納得した。


「悪霊祓いをした方がいいですわね」


 悪霊祓いが追加された。
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