転生アラサー腐女子はモブですから!?
 目の前で広げられるダンディー三人組の会話に耳を傾けながら、笑みが深くなる。

(ちょっと、育ちすぎているけど、これはこれでいいわね)

 ちょっと神経質で硬質な感じを漂わせるウェスト侯爵と筋骨隆々の雄々しいナイトレイ侯爵。そして、文官らしく線の細い美形のリンベル伯爵。

(誰が、『受け』かしら? 好みは、お父さまをウェスト侯爵とナイトレイ侯爵が取り合う感じよね。あっ! 侯爵二人が言い合っている。あぁぁ、いい!! よし、そこよ。お父さま、止めに入った!)

 言い合いを始めた二人をなだめている父を見て、アイシャの笑みは益々深くなる。

『もっと、やれ!』と思っているアイシャの心とは裏腹に、二人の間に入り、なだめていた父が無理やり話題を変える。

「――とっ、ところでナイトレイ侯爵。キース殿は?」

「キースか。あぁ、あいつか……、すまんな。今日は来れない。最近、騎士団に入ってな、そちらが忙しいらしい」

「騎士団ですか。それは、また。将来有望ですね」

「いやぁ、どうだろうか。あいつは、わしに反抗的だからな、国軍には入らんかもしれん」

「では、近衛騎士団へ」

「それも、わからんな」

 はははと笑うナイトレイ侯爵は、なんだか寂しそうにも見える。

 ウェスト侯爵家にしろ、ナイトレイ侯爵家にしろ、思春期の男子を育てるのは中々大変のようだ。

 
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