イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

銀の鱗と図書室の鍵


 ***

 ジェラルド様に手を引かれて、お屋敷に戻る。
 途中、すれ違った人たちが、なぜか二度見してきたけれど、私たちは親子じゃない。
 夫婦なのだから、手を引かれて歩いていたって、おかしくも、なんともないはずだ。

「ジェラルド様……」
「どうした、ステラ? その頬は……」

 ついつい、頬を膨らませてしまっていたことに気が付いて、慌てて微笑みを浮かべる。
 ジェラルド様は、不思議そうに私をのぞき込んで微笑みかけてくる。口づけまでしたのに、今日も完全に子ども扱いだ。
 それとも、一瞬過ぎたあれは、口づけではなかったのだろうか。

「今度は顔が赤い……。疲れか?」
「ジェラルド様ほど、疲れているはずありません」
「────心配してくれるのか。可愛いな?」
「も、もう!」

 二度見だけでなく、凝視してくる人まで出てきていたたまれない。
 確かに、地味な私と麗しすぎるジェラルド様が、一緒にいるなんておかしいのかもしれないけど。
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