「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
 そこでちらっとルーンさんはシリルを見たんだけど、彼は曖昧(あいまい)に笑うのみだった。本人が口を開くのを待っているのかもしれないけど、我慢出来なくなった私がつい聞いてしまった。

「……あのっ、ベアトリスさんがしたのは、どんなお願いなんですか?」

 二人とも目を合わせてたけど、大きく息をついて重々しく口を開いたのはシリルだった。

「ベアトリスは……自分が居なくてはならない聖女だということを盾にして、俺と結婚出来なかったらこの国を出ると言い出したんだ」

 え?
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