「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
 ああ……そうよね。だって、私は偽装結婚の相手には、ちょうど良すぎるもの。疑われても仕方ないわ。だって、ベアトリス様だって、そう言っていたもの。

 けれど、私がここでジャスティナがこんな話をすると思っていなかったのは、さっき聞いた名前のせいもあった。

 エミリオ様は、この話に何の関係があるの?

「……あの……ごめんなさい。ジャスティナ、それとエミリオ様は、どんな関係があるのかしら?」

 私は本当に不思議に思って聞いたのだけど、ジャスティナは辛そうに美しい顔を歪ませた。

 彼女はそんな表情をしていても、にくらしいくらいに絵になる人だ。

「ああ……ごめんなさい。フィオナ。貴女に怒られても仕方ないことをしてしまったわ。私がもっと早くに、貴女にこれを話していたら……こんなに複雑なことにならずに済んだのに! 実はエミリオ様は、フィオナのことが気に入っていたのよ」

「……え?」

 私はジャスティナの言葉を聞いて、頭が真っ白になった。

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