「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
 年齢的には下の私よりも年下で幼く見えるとても可愛い童顔を真っ向から裏切る、低い声と大人っぽくて落ち着いた性格。今でも背は高いけど、もっと高くなるのかもしれない。

 結婚しているくせに浮気だと言われてしまうけど、あんなことを私に言ってくれる男性は私の人生の中で、シリルとこのルーンさん以外誰も居なかったから。

 少々意識してしまうようになるのは、仕方ないと思う。

 とは言っても、ルーンさんは私を勇気づけたかっただけのことだから「もしかしたら自分を好きなのでは」とは思っていないけど……ただ、私が意識してしまうだけ。

「だって、異性の好みって、人それぞれでさ。百人が居れば百人違う。女の子が二人並んでて、片方に全部が寄るってありえない。普通なら」

「え……でも」

 いままでの常識がくつがえされたようで私には、良くわからなくなった。誰だって美人が好きだと思う。もちろん、私も。

 性格の良い美人なら、なおさら。

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