冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「……美味しい!!」
シンプルな苺のショートケーキも、梨のタルトもやや糖分は抑え気味で、代わりに果実本来の瑞々しさと甘さがしっかり感じられる、優しい味わい。なるほどこれならキースが勧めるのも十分に頷ける、隠れた穴場と言った感じのお店だった。
あっという間に食べきってしまったセシリーが率直に褒めると、メイアナは銀のトレイを胸に抱えたまま、意味ありげな笑みを浮かべた。
「ありがとうございます、素直で元気な御嬢様。本当にキース様とはなんでもないのですか?」
「ええ、あえて言うならば、可愛い団長を共に愛でる仲間といったところでしょうか」
「ぶはっ……」
ひどい咳込み方をしたのはキースで、彼はソファをつかむように背を向け、肩を震わせる。それを見て、メイアナは残念そうに頬に手を当てた。
「あらあら……。キース様は気取り屋ですから、こんな無邪気に楽しませてくれる女性はなかなかいないんですのよ? キース様、セシリー嬢にもっと意識していただくよう頑張らないと。もしかしたら今回の節刻みの舞踏会も彼女と一緒に出られるのでは?」
シンプルな苺のショートケーキも、梨のタルトもやや糖分は抑え気味で、代わりに果実本来の瑞々しさと甘さがしっかり感じられる、優しい味わい。なるほどこれならキースが勧めるのも十分に頷ける、隠れた穴場と言った感じのお店だった。
あっという間に食べきってしまったセシリーが率直に褒めると、メイアナは銀のトレイを胸に抱えたまま、意味ありげな笑みを浮かべた。
「ありがとうございます、素直で元気な御嬢様。本当にキース様とはなんでもないのですか?」
「ええ、あえて言うならば、可愛い団長を共に愛でる仲間といったところでしょうか」
「ぶはっ……」
ひどい咳込み方をしたのはキースで、彼はソファをつかむように背を向け、肩を震わせる。それを見て、メイアナは残念そうに頬に手を当てた。
「あらあら……。キース様は気取り屋ですから、こんな無邪気に楽しませてくれる女性はなかなかいないんですのよ? キース様、セシリー嬢にもっと意識していただくよう頑張らないと。もしかしたら今回の節刻みの舞踏会も彼女と一緒に出られるのでは?」