冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

決闘と最後の別れ②

 庭園とはいえ、王太子の離宮と言えばそれなりの広さがある。
 そこを決闘場に選んだジェラルドとリュアンは、互いを威圧するように視線をやったまま向かい合う。

「では、ここにしたためた通り……ジェラルド王太子が勝利すれば、セシリー嬢の身柄を即時ガレイタム国民に帰化させ、今後一切ファーリスデル王家ならびに国軍はそれに干渉しないことを約束する。一方、リュアン殿が勝利した場合は、ジェラルド王太子の責任においてセシリー殿をファーリスデル王国へ帰国させ、今後一切のガレイタム王家からの干渉を禁ずるものとする。それでよろしいか?」
「ああ」「はい」

 今聖女の資格を持つ者を失うことが致命的であるにもかかわらずジェラルドがこの条件で承諾したのは、彼の自分の勝利に対する絶対の確信のあらわれだろう。しかし一方で、リュアンが騎士団長として今自分の前に立ちはだかっていることに思うところもあるのか、慢心もなさそうだった。

「では、立会人は私自らが務めることといたすが、異存はありませんな?」
「お待ちください!」

 ジェラルドとリュアンが頷くと、自分の胸に手を添えたレオリンが説明を始めようとしたが、そこで外から声が掛かる。
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