冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

「他にも、以前リュアンを暴行する目的だったかセシリー嬢が誘拐されることがありましたが……今回もそこのフォルアンサム男爵の主導で彼女の生家である商会が攻撃され、支配人であるルバート氏の誘拐事件もイーデル公爵と懇意のベジエ子爵が主犯だと判明しています。他にも商会周辺でマイルズ氏と彼らが密談を交わす姿を目撃したという証言も多数挙がっていますし、一連の事件を流れとして見れば、息子であるマイルズ氏の報復行動を父のイーデル公爵が部下に命じ助けさせたというのが筋書きと判断できる……そうではないのですか、イーデル公爵!」

 強く張りのある声で整然と罪を言い立てたキースの迫力にマイルズは腰を引いたが、イーデル公爵は泰然とした態度をを崩さない。

「根拠のない言い掛かりは止めていただこうか……それはすべてそちらの妄想だろう。ベジエ子爵については彼の独断での行動で、こちらに咎は無い。クライスベル商会の件に関しては……フォルアンサム男爵や私は民衆の訴えに手を貸しただけ。それに紹介した多くの顧客たちの我らに対する信用を、そちらの粗悪な商品で落とされても困るのだよ……なあオーギュスト君」
「そ、そうだそうだ、この成り上がりの屑商会に、エセ騎士団どもめ!」
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