冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~

騎士たちのお世話係

 さすがに調子に乗りすぎたかと……あの後激怒して口を利かないリュアンの前で、大いに後悔することになったセシリー。

 幸い代わりに快く対応してくれたキースが、商会からいくつかの物品の定期購入を約束することでうまくその場をまとめてくれて、セシリーの中で大いに彼の株が上がることになった。冗談に乗っかってくれたことといい、キースは色んな意味でいい性格をしていそうな人物である。

 一旦話をオーギュストの元へ持ち帰ると、セシリーは数度の交渉を経て無事彼らと長期の契約を結ぶことに成功する。それだけではなく、嘘から出た真というべきか、会う度に忙しいロージーをを見かね手伝っていたのを認められ、セシリーは正式に魔法騎士団の世話係として、しばらくの間雑用などを務めることとなった。リュアンは反対したらしいが、ロージーの熱烈な要求や、ラケルを始めとする多くの騎士を味方に付けたキースを前に、団長の一存という言葉では押し通せなかったようだ。


 そしてそれから三日経ち、ここは魔法騎士団本部食堂。
 配膳のトレイを差し出すセシリーの目の前には、リュアンのむすっとした顔があった。
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