この恋に名前をつけるなら
-第1章-

プロポーズの日


2010年、4月。


俺の通っているの学校は、

スポーツ強豪校でもなければ、

エリート校でもない、

ただの普通の学校だった。


ただ松江市内にあり、

家から近いという理由で、

この高校に入った。



「仁、明日の新歓行ってくれ!」


突如、キャプテンが俺に告げた。


数秒理解に苦しみ、

苦しみながら出た言葉は、

敬語ではなくタメ語。



「は!何で俺が?!」


明日は新入部員勧誘会があり、

入学したばかりの一年生に、

部活紹介をする日だった。



俺はバスケ部に所属していて、

体育館でいつものように練習に励んでいた。


うちのバスケ部は、

県大会出場という目標を掲げている。


だけど正直に言って、一回戦突破できるか、

できないかの実力だった。



バスケ部の代表で新歓に、

行かせようとするキャプテンに、

俺は嫌な顔を見せていた。



他にも部員がいる中、

何故、自分をチョイスしたのか、

意味が分からなかった。


キャプテンは不適な笑みを浮かべながら、

俺に躙《にじ》り寄った。



「それはお前がイケメンだからに決まってんだろ!」


はい?なんだ、その理由は……



なるほど、じゃあ俺が新歓に行きます。


ってならねえよ普通。


キャプテンは続けて俺に言った。



「イケメンが新歓に行けば、必ずマネージャーが入るはず」


なんだ、その単純な考えは……

呆れて言葉が出てこなかった。



自分ではイケメンだとは思わないが、

よくイケメンだと言われる方だった。


この前も他校の生徒に告白されたっけ?





まあ、それはさておき……
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