そして消えゆく君の声
 真っ白になった頭に、黒崎くんの言葉が響きわたる。近くで、遠くで、乱反射する光のように。


 いつから、とか。
 どうして、とか。


 浮かぶ疑問符は残らず押し流されて、爪先から頭のてっぺんまでのあらゆる感覚が、目の前の相手だけに集中しているみたいだった。

 初めて言葉を交わした日から今日までのやり取りが星のようにまたたいて、目の奥が勝手に熱くなる。


「…………わ、」


 遅れて騒ぎ出した鼓動は息苦しいほどの勢いで、全身が心臓になったような心地がした。

 喉が渇いて、膝が震えて。
 ほとんどへたりこみそうになりながら、ようやく絞り出す。


「わたし、も」

 
 今度は黒崎くんが目を見開く。


 私が気持ちを伝えた日のように。けれども、あの日苦痛に塗りつぶされていた瞳には、戸惑うような色が滲んでいた。

 自分の身に起きたことが信じられないように。何かあたたかく、柔らかなものを手のひらに乗せられたように。
 
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