おいらんっ道中らナイス!
奉公
 遊廓の前

忍が水撒きしていると

その前を男性が通りかかった。



「おっと。」



「すんませんっ」

 忍が

慌てて頭をさげると、



「いや

 大丈夫。

 ところで、保ちそうかい?」



 忍はにっこりと微笑み



「慣れっこデス



 生まれてこの方、

 名前からして

 忍んでますから。」



応えた。



「それじゃあ、

名前はお志乃さん

かい??」



「忍です!」



 忍、

あっさりと本名を

告げてしまう…。





 ある日。

忍が

廊下の雑巾がけをしていると。



ひとりの女郎が、

咳き込みながら、

通り過ぎて行ったー。



 忍はなんともいえない

複雑な面持ちで、

背中をぼーっと見送った。

「おしのぉー!」

「ハィィッ」





 お針子をする忍の頭を

ぐるぐると。

先程の女将さんの言葉が、

繰り返し

巡った。



『必ず

おいらんになるんだよ

おいらん道中するんだよ?

絶対

一番になるんだよなるんだよ!』





(そんな、もんかなあ?

でもやだなあ)

忍は耳を塞いだ。

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