君のためのウエディングドレス
 ひとりじゃ着るの難しくて、お母さんに手伝ってもらいながら何とか着替えた。

 その部屋にあった全身鏡で自分の姿を見た。
 まるで、魔法をかけられたみたいに、別人のように思える。本当にお姫様みたい。

「すごい、これ、私?」
「そう、優衣花ちゃんだよ。可愛い! じゃあ、移動するから車に乗って?」
「はい」

 歩きづらくてもたもたしていると、お母さんがスカートの裾を持ってくれた。

 車に着いた。
 桃李くんがすでに後ろの席に座っていて、私は再び彼の隣に座る。

「可愛いな、似合うわ」

 桃李くんがじっと私を見つめながらそう言った。

 今、可愛いって、桃李くんが私に……。
 顔がほてってきた。


 桃李くんは白いタキシードの中に薄いグレーのベストと蝶ネクタイを合わせたコーディネート。


 ビシッと決めたタキシード姿。
 いつもよりも丁寧にワックスでまとめてある、黒い髪の毛。

 桃李くんこそ、カッコよすぎだよ。

 恥ずかしくて直接そんなこと言えないから、心の中で何度も「カッコイイ桃李くん」って呟いた。


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