敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~

「家政婦さんが作る朝食は食べなかったんですか?」
「学生時代は食べてたけど、働きだしてからは食べるより寝ていたかったからね。こんな朝ごはんがあったよなって思い出した」


聖はしみじみと呟いて、次々と箸を伸ばしていく。


「昨晩もそうだったけど、ほんとにおいしい。七緒の料理の腕前は半端ないな」
「ありがとうございます」


そこまで褒めてもらえると作り甲斐がある。今夜はなににしようかと早くも冷蔵庫の材料を思い浮かべた。
和食に飢えていたみたいだから、しばらくはその路線で作ってみよう。

(カツオのたたきを作っておろしポン酢と和えようかな。副菜はひじきの五目煮にして……)

頭の中でシミュレーションしながら七緒も箸を進めていく。献立を考えるのは調理するのに匹敵するくらい楽しい。組み合わせ次第で栄養価を効率よく摂取できる。

そうしてふたりで食べ終えて片づけを済ませ、聖を送り出す時間となった。

お弁当の入った小さなバッグを持ち、玄関で靴に履き替えている彼の元へ向かう。
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